2017年8月27日日曜日

自作3Dプリンタ テストと条件出し

 
完成宣言をした自作3Dプリンタですが、まだ実戦配備というわけにはいきません。
テストプリントがまともに出力できるよう調整しないといけないのであります。
さて何を使って調整するかなと思ってネットを検索しておりますと、fabcrossにこんなのがあるじゃあないですか。
早速DLしてテストすることにしました。

STLファイルをRepetier-Hostに読み込んで、


Slic3rを設定します。動作確認の際に最低限の条件は設定していますので、まずはそれでプリントしてみます。


Gコード作ってそのままRepetier-Hostからプリントします。


開始。


順調に進んでいるように見えます。


とりあえずこのまま最後までやろうとしたのですが、なんかいまいちだったので途中でやめました。


それがコレ。そこそこできているんですが、なんかぴしっとしてないというかなんというか、期待していたものと違う感じがします。


だいたいこのパターンはいかん奴で、調整地獄に落ちます。
で落ちました。
途中でやめたやつばかりですが、これはその一部(笑


どれもそれほど悪くはないのですが、ノズルの温度やプリント速度をちょっといじるとすぐにカンカンいいだすのです。
このカンカンは3Dプリンタをお持ちの方ならご存知でしょう。いやな音であります。
フィラメントがホットエンドにうまく押し込まれず、送りギアが空回り、または脱調している音です。この音がするときはたいていプリントに失敗するか、いずれ失敗するかのどちらかです。設定で何とかなることもありますが、ノズルが詰まったりしているとオーバーホールが必要になったりします。まったく嫌な音です。

毎回「これなら絶対大丈夫」と思う設定でプリントするのですが、どれもどこかでカンカンいいます。
で、設定をいろいろいじっている間にどんどん状態は悪くなっていきまして、最後はこんなとんでもない状態に。


「もうこれはフィラメントがわるいとしか考えられない」と結論して、フィラメントを黒にしてみました。


これも特別悪い感じはしないんですが、たまにカンカンいうのです。ひどい場合には一度カンカンいいだすとそのままフィラメントの送りが止まってプリントが出来なくなります。


なんかだんだん重症化してきました


ここでやむなく条件を最初と同じに戻したりしてみましたが、もはやカンカンは止まりません。泥沼に落ちたときはそんなもんであります。最初がいちばんよかったんだけどそれにすら戻れないという...

となれば得意の思考実験というか、思考による原因究明です。しばしプリントをやめて考えます。
...ひょっとしたらこれか? 一つの原因を思い当たりました。
早速ヘッドをばらします。この部分です。以前このMK8ヘッドを分解して詳しく考察した際にすでに気がついていたのですが、このMK8パチモンクローンはフィラメントが押し込まれる位置の真下から少しずれたところにホットエンドへの入り口があります。どう見ても一直線上というか送りギアの接線上ではなく、そこから横、下の写真で言えば左にずれているのです。


この写真だともっとよくわかるかな。フィラメントを押していくとホットエンド入り口の土手あたりに当たるような気がしませんか。これが原因かもしれないと思ったのです。
ホットエンド入り口がずれているということは、それだけフィラメントが無理に曲がらないといけませんので送りギアに負担がかかり、土手の部分でフィラメントが削られて引っかかる可能性も出てきます。特にトラベル(プリントせずにヘッドを別の位置に動かすこと)の時にフィラメントはリトラクトされますが、この時にフィラメントが土手でこすれて傷がつくと次に押し込むときに引っかかる可能性があります。これかもしれません。


が、ホットエンドの入り口を動かそうにも、アルミブロックにねじ切りですのでどうしようもありません。また送りギアはモータの軸に直結ですので、これまたモータを動かすわけにもいきません。
ということで、しばし考えた後、ホットエンドのアルミブロックへの押し込みをねじ一山分下に下げました。こうすることで送りギアホットエンド入り口の間の距離が広がりますので、ギアで押されたフィラメントがホットエンドの入り口までに曲がるためのスペースが広がります。これにより曲率が大きくなりますのでフィラメントにかかる力も小さくなり、土手で削られるといった可能性を下げられる可能性があります。
下の写真が調整後です。一山分ですがまずはここから様子を見ましょう。この写真でもギアの下で無理やり左に曲げられているフィラメントの様子がよくわかりますね。


プリントしてみます。


おおおお!まったくカンカンいわなくなりました。やはりこれだったようです。


ということで、そのまま積んでいきます。


詰んで積んで。


天井まで来ました。比較的きれいです。


が、この後がひどいものでした。
幸いに対策後はまったくカンカン音が出なくなりましたが、ベースの上に積み上げられるドームやらピラミッドやらの形状がえらく汚いのです。


こんな感じ。汚いものではありますが、プリント自体は正常に進んでおりますので、ようやくここからちゃんとした調整に入れる感じです。


このプリントはベースの部分はきれいでしたので、おそらくその上の形状を作るときの問題です。動いているところをよく見ると、ピラミッドの中はフル充填、いわゆるソリッド充填状態になっています。
ソリッド充填はどうしても樹脂が多めになって盛り上がる傾向があります。これを数重層に渡って続けると樹脂余りが加算されてまずい状態になるのはなんとなくわかります。

そこでSlic3rの「ソリッド充填をするかどうか」の判断基準であるフィルインのミニマム値をいじってみました。元値は75mm2です。これは75mm2以下のエリアはフル充填することを意味しています。ピラミッドの底辺は10mm程度ありますが、外周部を除くと8mm程度まで減ります。一辺8mmでは面積は64mm2なのでこれはソリッド充填判断となるわけです。この値を小さくすることでピラミッドの中もフィル条件にします。
何回かの実験をしたのちにミニマム値を16mm2にしました。

再度プリントします。


順調に進みます。もはやカンカンは全く聞くことが無くなりました。


で、出来たのがこれ。


二つ並べて比較します。


これが、


こうなっています。確かにかなりの改善がありますね。溢れてだまになっている樹脂の量が全く違います。この条件で一旦設定でいいでしょう。


ちなみに、初期状態で全く潰れていたスリットは、


こんな感じにかなりの再現をしています。


樹脂が溢れて互いにつながりまくっていたこの構造も、


すっきり分離されています。悪くないです。


ちなみに文字も何とか読めます。六角形の左側に「M4」の文字が見えます。


ノズル径が0.4mmですので小さい文字は潰れてしまってます。


ここで読めるのは真ん中の「35」くらいですか。


円錐の先端も比較的きれいです。


ところでこのサンプルは一辺が50mmです。その上に1x2mmくらいの文字が書いてあるわけです。これはそもそもFDMのプリンタでは難しいところです。


ということで、細部はさておき、私がパーツとして作りたいレベルのプリントはこれで十分できると思われます。


試しに以前作ったベアリングホルダをプリントしてみました。


いい感じです。旧3Dプリンタさんとは一線を画す出来栄え。


なにがきれいって、このネジ穴です。丸いです。全く潰れがありません。この穴は穴の軸と垂直な方向に積み上げられています。Z方向の送り精度が高いことの証左です。


この穴も軸に垂直に積み上げられています。きれいです。


後加工なしにこのまま組みつけに供することができると思います。
ようやく作ったものの精度が実感できました。これは全く持って十分なレベルです。
すばらしい。


テストデータと並べてみました。
このサンプルはFDMプリンタのテストデータとしては構造が複雑すぎるという気がします。市販のすごい奴だときれいに文字が読めるのかな。


いずれにしても、私が使う分には十分な能力です。
これで実戦配備ができます。本当の完成です。うれしい!

2017年8月20日日曜日

自作3Dプリンタ その18 完成

 
昨年の9月18日に「自作3Dプリンタ その1」として投稿して以来、はや一年が過ぎようとしておりますが、ようやく完成しました。
まだしばらくは調整と最適化の日々が続きますが、それなりにプリントはできるようになっておりますので、本投稿にて完成を宣言したいと思います。

ここまでの進捗はこの通り、ほぼメカ系は組みあがっておりましたが、X軸のリミットスイッチが未着手だったのと、制御周りの配線が全く手つかずの状態でした。


X軸の背面のこの位置に原点位置出しのリミットスイッチを取り付けます。


必要な部材はすでに切り出してあって、


他の2軸と同様このスイッチを使います。


保護紙を剥いで、リミットスイッチを皿ネジで固定するためにザグリ穴を開けます。


こんな感じ。


取り付け位置を考えます。


しばし考えた後、最もストロークを大きくとれるこの位置にしました。
これでステージの左右一杯を使うことができ、200mm角近い大物のプリントが可能になります。設計上はですけどね。


で、どうやってこのリミットスイッチを押すかというと、下の写真のような長ネジを使い、ベアリングを固定しているネジをこの長ネジで置き換え、ネジをレバーに当てるようにしようと考えました。


何とかキャリッジをばらさずにリミットスイッチを押せないか考えて、長ネジの代わりにこんなスペーサーナットや、


さらにそれに角ナットつけたりと、いろいろ悪あがきをしましたが、これは全然スマートではないという結論に至り、


結局ばらして取り付け直すことに(笑


長ネジをつけました。


これでリミットスイッチまで届きます。


押したとこ。ばっちり期待通りの動作です。これですべてのメカ部組みつけが完了しました。


次に、制御基板の取り付けと配線です。


制御基板は旧3Dプリンタさんからの臓器移植です。元々はreprap prusa Mendel MK2クローンに付属していたもので、Melzi2.0で動いてるものです。


結構大きな基板の上に、4つのモータコントローラA4988(左側の放熱板の下)、ヒートベッドとエクストルーダのヒーターコントローラ(マイコンの上あたり)、各軸リミットスイッチとサーミスタ入力(基板右側のフォトカプラが並んでるあたり)があり、さらにPCと接続するためのミニUSBポートと、スタンドアロン動作をするためのマイクロSDカードスロットがあります。


ねじ穴位置を実測して固定用のボードを作ります。JWCadでサクッと図面を作って、


NCVCでGコード作って、


3mmのアクリル板からレーザ加工機で切り出します。


板おいて、


切っていきます。いつもの作業。
ほんとにほんとに便利です。作ってよかったレーザ加工機。


切れました。数分の作業です。


取り出して、


保護紙剥いで、


基板組みつけて、


3Dプリンタの裏側手前に取り付けることにします。こうすることで配線がステージ下に隠れるのと、手前からUSBポートとSDカードスロットにアクセスできるようになります。
下の写真はよくわからないと思いますが、本体をひっくり返しています。


取り付けました。ここは強度が必要なところでもありませんので、後入れナットで取り付けています。


反転を元に戻したところ。


制御基板への配線をしていきます。
ここは安定した作業環境が必要ですので、このジャッキ3台を使って、


このように水平になうように横倒して作業を進めます。


裏から見たとこ。


まずはモータの配線から。


5個使っているモータはすべて2相バイポーラのステッピングモータですので配線は4本です。


つないでつないで、


恰好がついてきました。


モータの配線完了。ごちゃごちゃですが、まずはこれで動作確認です。うまく動いたらまとめて整理することにします。


リミットスイッチの配線に移ります。こちらにも旧3Dプリンタさんからの回収部材をフル活用。これで供養になるでしょう。



3つのリミットスイッチに端子を接続して、


ハンダ付けで線を延ばしていきます。


リミットスイッチの配線が終わったら、電源です。ヒータがいくつもあって結構電力食いなので太めのAWG20あたりを使います。固定にはY端子ではなく丸端子を使用。抜け防止です。


配線完了。


最終点検をして、PCに接続、Repetier-hostを起動して原点復帰させてみます。
一部モータの回転方向がひっくり返ってたりしている部分を修正して、こんな具合に無事動作しました。動画で。


これで軸駆動部分は確認できましたので、ヘッドの動作確認に進みます。


フィラメントを短く切って、


ヒートシンクを外したヘッドに挿し込んでみます。


なんかちょっと無理があるようにも見えますが、ここは調整のやりようがありません。まあいいでしょう。このまま進めることにします。


ヒートシンク戻してヒーター周りの配線を行います。ここで問題が発生。
エクストルーダのモータの配線は写真下側に出るようにしていたのですが、考えてみたら上の方が便利です。ヘッド部分にはサーミスタやファン電源などモータ以外の配線が沢山あり、これらは上から回してくるのが一般的です。下に垂らすと造形物と干渉して危険です。


ということで、一度ばらしてモータを180度ひっくり返します。


もう一度横倒してヒータ周りを配線。


配線が終わったら、ヘッドを加熱してフィラメントを送り込み、溶けた樹脂がきちんと押し出されてくるかどうかを確認します。動画で。


大丈夫のようです。もちろんプリントできるまでにはたくさん調整が必要なはずですが、まずはノズルから樹脂が出てきてもらわないことには話が始まりませんからね。

これで動作確認はできました。配線が正しいことも確認できましたのでスパイラルケーブルタイを使って配線を束にし、長さを調整してまとめていきます。このケーブルタイも遺品。フル活用です。


くるくる巻き付けていきます。
先ほどモータをひっくり返したので上に束を持っていくときに無理がありません。


アルミフレームを使って固定していきます。


X軸の配線は上下動する分を見込んで余裕を持たせます。


随所にタイラップを活用。


スパゲティがかなりすっきりしてきました。


一度外して長さを調整したヘッドからの配線もつなぎ込みます。


電源も直結では使いにくいので、途中にコネクタを設けることにします。


完了しました。まだいまいちですが、とりあえず動作させる分には問題ないと思います。


これでホントにモノとしては完成であります。
一年越しのプロジェクトでしたが、計画当初の片持ち式プリンタCetus3Dのコピーから発展して、最終的には独自のDINレールスライダを使ったものとなりました。
時間はかかりましたが、ものとしては結構かっこいいものになっているのではと自画自賛であります。


さて、しばし眺めたところでいよいよ本番、プリントテストです。


条件出しのために簡単な形をfusion360で描き、STLを出力してRepetier-hostに読み込みます。



最初は条件も何もありませんから、ノズル径だけを合わせ、残りはデフォルトの設定でGコードを作ります。作成にはSlic3rを使用。


プリントしてみます。


動画で。


初っ端からそれなりにいい感じで動いております。


動画を二本。


ということで、初プリントから思いのほか順調に進み、


そのまま完成しました。


まだベッドの加熱をしておりませんが、はがれることもなくしっかりとついております。
これくらいの大きさなら反りの影響が出ることもないですしね。


接写。
一見ちゃんとできているように見えますが、細部にはいろいろ言いたいことがあります。


方向を変えて何枚か。




プリント中たまに「カンカンカン」という嫌な音が聞こえていました。これはフィラメントが加熱部分にうまく送り込めない時に出るもので、送りねじが空回りする際にフィラメントをひっかいている音です。
この音がするときは、

  • ヘッドの加熱温度が低く、うまくフィラメントが溶けていない。
  • フィラメントを送り込むスピードが速すぎ(溶けるスピードが追い付かない)
  • ノズル出口が詰まっていて設定通りに樹脂が送り出せない
といったことが考えられます。
しばらくあーだこーだやった挙句「どうもノズルの口が細いようだ」という結論に至りました。実際にノズルから出てくる糸状の樹脂の太さを測ってみると0.35mmくらいしかありません。ノズルには0.4mmの刻印がありますが、測ったわけではありません。
ということで、ノズル径設定をいくつか変えてプリントしてみました。

この写真ではよくわかりませんね。実際に見てもよくわかりません(笑
あんまり違いが無いんですよね。
どれもそれなりにできているといえばその通りで、実用上は問題ないのですが、気になりだすときりがありません。設定地獄の始まりであります。


ということでノズル以外のところもいろいろいじりだしてしまいまして、どんどんサンプルが増えていっております(笑


ここまで作ってもなお落ち着きません。
繰り返しますが、どれもそれなりに使えるレベルなんです。が、なんとなく満足がいかないのであります。


まあしばらくはいろいろと試して最適条件を求める旅に出てみましょう。
その過程では様々ノウハウが身につくものと思います。

それと、一方では 制御系をMerziからRAMPSに変更しようということも考えております。すでにAliexpressに発注をかけており、到着待ちなのです。
ということで、今回の投稿にて完成&稼働開始としますが、今後も改善ネタを都度投下したいと思っております。